neomusha

ゲームとテックを、ぶった斬る。

Reboot / 再起動

── サイト開設について ──

PROLOGUE // 回想

今から24年前になるかな。

ノストラダムスの大予言は見事にハズレ、世間はミレニアムに浮かれていた直後で、TVではロン毛のホリエモンが世間を騒がせていた。

そんな時代のように記憶されている。

当時の私が現実を直視できなかっただけなのかもしれない──まあ人間の記憶なんて都合のいいようにできているもんだ。あの頃の日記をめくるくらいなら、素手で便器を磨く方が精神衛生上ずっとマシだ。

ORIGIN // 社会不適合者の誕生

当時の私はどこにでも居る学生で、他の同年代と違うといえば自分の将来に全く希望を持てなかったことかな。

就職氷河期真っ只中。「将来の希望」なんて言葉は、ツチノコやネッシーと同レベルのオカルト用語だと本気で信じていた。

なんせ高校では調子に乗って進学校の門を叩いてしまったため、同級生はそれこそ軒並み有名な国立・私立大学に進学。一方の私は学校の勉強など一切せずに、柔道部を引退した後に極真空手の門を叩き、その後は何も考えず筋トレ三昧、そして当時自宅にあったパソコンばかりに熱を入れ──

気付いたときには進学もせず、そして就職する意思も勇気もないどっちつかずの社会不適合者となっていた。

世に出たばかりのWindows XPマシン。その周囲には道着とダンベル。ITと格闘技が同居するこの空間。親からしたら部屋にあるものすべてが狂気じみて見えたろう。こんなもん完全に「仕上がってしまった息子」の部屋でしかない。泣くよ、普通。

それでも筋トレは40代となった今も継続しているし、パソコンを触っていたのがきっかけかどうかは定かではないが、IT関連の仕事について20年以上も経つ。

社会のレールから派手に脱線したはずの泥舟が、なぜかそのままIT業界のド真ん中を20年も漂流し続けている。真面目に生きてる人が馬鹿らしくなるような、よくできた喜劇である。

ERA // 個人サイトの黄金時代

2000年当時のインターネットは覚えている限りはまだネット黎明期の色が残っており、SNSやブログなどまだ世に出ておらず、さながら個人サイトの時代であった。

GoogleよりYahoo!が強く、検索よりも『お気に入り』が頼りだったあの時代。素人達が放つ、熱を帯びた生臭いテキストがそこかしこに点在していた。

誰もまだネットがお金になるとは思ってもいなかった時代に、個人サイトはそれこそ金にならないけど閲覧者を単純に楽しませたいというギブの精神に満ちたエネルギーを持っていた。

「アクセスカウンターが1回る」ただそれだけの事実が、どこの馬の骨とも知れない若者たちに徹夜でHTMLを手書きさせる狂気を生んでいたのだ。現代のインフルエンサーからすれば、完全にイカれたボランティア活動にしか見えないだろう。

その波に押されたのか、私も2002年にレトロゲームレビューサイト──

落武者

を開設した。

当時作成したサイト「落武者」

当時作成したサイト「落武者」── HPビルダーVer.6、CSSは気合い

現在このデザインを提出したら、間違いなく発注者の胸倉を掴まれるか、即刻打ち合せ室を出禁になるレベル。だが当時はこれが紛れもない『最先端』だった。人間の美的感覚なんて、時代が変われば簡単にひっくり返る程度のいかがわしいシロモノだ。

当時のレトロゲームレビューサイトは「ファーニーゲーマーズヘブン」など有名サイトは存在したが、私が最も影響を受けたのは「鬼畜 病欠。」というサイト。

ここの管理人の病欠さんとは掲示板などでも交流させて貰ったがぶっ飛んで面白かった。
私の「落武者」のベースは完全に病欠さんのサイトが基となっている。

相手に許可すら取らず、一方的に文体をパク──インスパイアし、勝ために弟子入りを名乗る。現代なら即座に炎上して謝罪に追い込まれるようなムーブだが、当時はこれを『リスペクト』という最強の免罪符が全て浄化してくれていた。

LEGACY // 残したもの

話を戻して「落武者」で公開したゲームレビュー記事や改変GIF動画は様々なサイト──Pya!ニコ動などでご紹介くださり、また一部のGIF動画は20年以上経った今も主に海外などでネットミームとなっている程、サイトアクセスを頂いた。

いま風の言い方で言えばバズったんです。

「祭り」である。四半世紀前のネットの片隅で打ち上げられた花火が、海を越えて見知らぬ異国の地で今なおミームとして消費され続けている。これはもうエンターテインメントの枠を超えた、ある種のデジタル・ポルターガイスト現象と呼ぶべきだろう。

REBOOT // 再起動

ただあの頃の情熱というかサイトコンテンツを作成する目的意識を今も再現できるかと言われると厳しい。

それは歳を取ったというフィジカル的な衰えではなく感度が鈍ったとも言える。

ベンチプレスで100キロを上げられても文章のパンチ力は上がらない。筋肉は裏切らないが、感性というヤツは全く義理人情をわきまえておらず、ある日突然、我々に何の断りもなくあっけなく消え失せる。

INSIGHT

"世にまだないが、あったら絶対に自分は見たいもの"
──それを「落武者」ではコンテンツとして提供した。

しかし今のネット上でそれを見つけることが甘くない事は理解している。

YouTubeやTikTokなどのSNSが、人類の想像力という余白を隅々までコンクリートで舗装してしまった。あの頃のような隙間はもう、どこにも空いていない。

で、今回のブログ開設は新たな挑戦である。

スタンスは当時と変わらずギブのスタンスで運営しますが、やることは特に決まってない。

理念なし、計画なし、勝算なし。ビジネスコンテストであれば、プレゼン開始3秒でマイクの電源を切られ、警備員をつまみ出されるであろうこの『圧倒的な空洞感』。これこそが落武者を名乗る為の最低限のドレスコードなのだ。

そんな感じでよろしくお願いします。

ブレーキペダルを外し、行き先も決めないまま、再びネットの世界へ向けてアクセルを踏み込んでしまった。ただ一つ確かなのは、私の人生のコマンドに『止まる』は実装されていない。あるのは『進む』と『暴走』。そしてたまに『壁に激突』。ずいぶん乱暴な仕様だが、開発者に問い合わせても、どうせこう返ってくるだろう。

――「仕様です。」

kbn(元・落武者管理人)
── 2026.03 neomusha 開設