PROLOGUE // マイク・タイソンという名の衝撃
今から約17年前、一人のボクサーの名前がアメリカから海を越えてここ日本へと響き渡った。
何でもめちゃめちゃに強いらしく、デビュー戦からノンストップでヘビー級チャンピオンへと駆け上がり、ついにはWBA・WBC・IBFという3つの団体のトップ、つまり統一世界チャンピオンにまで駆け上がったというとんでもないボクサーらしい。
しかもその試合のほとんどが1ラウンドKOという凄まじさだから堪らない。
その男の名はマイク・タイソン。
ブルックリンの不良少年がボクシングと出会い、アメリカンドリームを掴むまでの話は彼のその後の転落人生同様余りにも有名である。
栄光と転落。その両方を経験した男は世界広しといえどそう多くはない。彼はその稀有な一人である。
ちなみに私がTVで始めてマイク・タイソンを見た時の第一声が「この人ゴリラなん?」と言ったかどうかは今となっては定かではないが、とにかく非常に強かったという事だけは憶えている。
それ故当時の悪ガキ達は、その昔、映画「仁義無き戦い」を見た者が映画館の帰り道で文さんよろしく肩で風を切って帰っていくように、はたまた「燃えよドラゴン」を見た者が翌日から上半身裸で筋トレを始めてしまうように──
皆タイソンの試合を見た翌日はタイソンになりきっており、子供ながらに非常に迷惑だったのを憶えている。
当時の子供達は、影響されやすさにおいて生態系の頂点に立っていた。── なお筆者もその植物連鎖の一部であったことをここに告白しておく。
CMもタイソン本人が出演
BACKGROUND // パンチアウトの前日譚
これは割と有名なゲームですのでFC世代の人なら一度はプレイしたことがあるのではないでしょうか?
実はこのソフト「マイクタイソンパンチアウト」が出る以前に、既にこのゲームの前身となる「パンチアウト」というソフトが『第2回 ファミリーコンピュータ ゴルフトーナメント』という当時開催されていた大会の景品として上位入賞者に配布されてました。
景品版「パンチアウト」── 俗に言うゴールドバージョン。現在もプレミア付き。ちなみにタイソンは出ない。
しかしこの景品版が配布されたわずか2ヵ月後、何と任天堂からこの景品版をパワーアップさせた上に、当時人気絶頂だったボクサー・マイクタイソンをラスボスに付け加えた製品版が発売される事が決定しました。
それがこの「マイクタイソンパンチアウト」
それ故、当時必死になって景品版を手に入れた人達は、市販化、それもパワーアップしての製品版発売の告知にどれ程落胆したことであろうか・・・
自社への忠誠心あふれる最優良顧客を、たった2ヶ月で絶望のどん底へ叩き落とす。この時期からすでに、任天堂のメンタルコントロール技術は世界レベルであった。
FIGHTERS // 挑戦者プロフィール
このゲームの内容はというと、主人公のボクサーを操って次々と敵ボクサー達と戦い、勝ち上がって行き、最終的にはW.V.B.Aの世界チャンピオンを目指すといったゲーム内容です。
そして今回この無謀ともいえる挑戦を挑むのはこの二人。
密かにアメリカンドリームを夢見る少年
17歳のケンカ好きのファイター、リトルマック
&
元プロボクサー、酒に溺れる毎日をリトルマックとの出会いによって再びトレーナーとして世界を目指す事を誓った男
ドック・ルイス(58歳)
多少あしたのジョーと被ってますが
二人とも見るからにやる気満々な表情ですね。
が・・・ このリトルマック君──
初っ端から出る階級間違ってます。
これはもう実力がどうこうの問題じゃないですよ。
物凄いハンデを自ら課してしまっていますこの男・・・
通常、スポーツ漫画の主人公はルールの中で奇跡を起こす。しかし彼は階級という前提条件から破壊してきた。これは挑戦ではない、体格差という現実との一騎打ちである。
「実は遠近法でした」などと言うボケはもちろん有りません。
そんな体格差で本当に試合するのか?
というか相手にパンチが届くのか?
「リーチ差」などという言葉は、この状況では甘い。問題はもはや「高低差」である。パンチを当てる前に脚立が必要だが、当然このゲームにそんな救済措置は用意されていない。
SYSTEM // 戦い方の手引き
しかしそんな我々の心配をよそにこのマック君、この様な事態を初めから予測していたのかの如く、突然ある著名な男の技を猛スピードで繰り出し始めました。
カエル跳びアッパー
『カエル跳びアッパー』── リーチの短さをカバーするために輪島功一氏が編み出した必殺技。相手の目の前でかがみ込み、飛び上がりながら相手の顎目掛けてアッパーを打ち込むというトリッキーな技である。
開発者の輪島功一氏は世界タイトルを6度防衛したレジェンドだが、現代の若者からは完全に「陽気なクイズ用のおじいちゃん」として認知されている。歴史は語らなければバラエティに飲み込まれる。情報化社会の闇だ。
「やるな・・・リトルマック」
とは言う物のどんなに技術が優れていてもこれだけの体重差は容易には埋めれません。格闘技では体重が10キロ違うもの同士が戦うと軽い方のパンチは効かないとさえ言われます。
それ故、相手のパンチを一発でも食らうと即命取りですので絶対に貰わない様にしましょう。
相手のパンチは一発でも脅威
基本的にこのゲームでは相手のパンチを スウェーや
ダッキングでかわした直後に顔面にアッパーを連続でねじ込んでやるのが最も効果的な戦法です。
ちなみに星を持ってる状態でスタートボタンを押すと強力な アッパーカットが打てます。が──
※どうやらリトルマック君はこの技がお嫌いらしいのでここぞと言う場面でのみ使って下さいとの事です。
若干17歳にして職人の美学である。私なら開始直後から反射で押し続け、尊厳ごと消費する。
ROUND 01
リトルマック勝利
見直したぞビッグマック・・・じゃなくてリトルマック!
というより単にこいつが弱いだけでした。
1勝99敗て・・・
これは記録ではなく被害報告書だ。W.V.B.Aは挑戦の場を提供しているのか、それとも敗北を制度化しているのか。倫理委員会の出番である。
ROUND 02
2回戦の相手は、何やらえらく古のボクサーを彷彿とさせるドイツ人フォン・カイザーとの戦いです。ちなみに彼のモデルは確実にジョン・L・サリバンでしょうね。
モデルと思われるジョン・L・サリバン(1858~1918)
ボクシングがグローブ方式になって最初の王者で、ベアナックルファイト(素手での殴り合い)最後の王者…らしい。つまり、文明と野蛮の両方で頂点に立った、歴史公認のプロの喧嘩屋である。
しかしこの厳格そうなドイツの人も──
before / after ── 殴られるとかなりのマヌケヅラに
ドイツ人、自分のマヌケ顔に余程ショックだったのか勝手に失神
と翌日の新聞を飾った訳ではないが、こいつもたいして強くは無かったのでとっとと先に行きましょう。
顎ではなく自尊心が砕けた。敗因はパンチではなく、自己嫌悪である。
ROUND 03
W.V.B.A MINOR LEAGUE TITLE
3回戦はM.V.B.Aマイナーリーグタイトル争奪戦。
相手は日本のボクサー・ピストン本田。
こいつは日本民謡「さくらさくら」のリズムに合わせて登場してくるのでスト2の「エドモンド本田」とタメ張る位にキワモノっぽいです。
「さくらさくら」のBGMに乗って入場する日本人。80年代のアメリカがいかに日本を『フジヤマ・ゲイシャ』的テンプレートで省略処理されていたかを雄弁に物語っている。
が、モデルはどうやら浜田剛史さんみたいですね。
モデルと思われる浜田剛史 ── WBCジュニアウエルター級チャンピオンに輝いた偉い人
本田は時々仕掛けてくる必殺パンチのストレート連打が少々厄介ですが、うまくガードで凌ぎ、あとは攻撃をかわしてからの顔面パンチ連打で何とかなると思います。
本田撃沈
というか足がデカいぞ本田!
足のデカさを指摘され激怒する本田氏
拳の勝負に挑みながら、致命傷は足のサイズの指摘。怒るポイントの配分をここまで誤った男は、後にも先にも彼一人だろう。
ROUND 04
W.V.B.A MAJOR CIRCUIT
何もチャールズ皇太子がバラくわえて踊ってる訳ではありません。
彼がれっきとした4戦目の対戦相手です。名前はドン・フラメンコとか言ってますがどうでもいいです。
こいつは初めは自分からは打たずにこちらのパンチばかりを誘ってきます。そしてこちらがパンチを打つとその直後にカウンターを狙ってくるので、落ち着いて避けてボコッてやれば大体は1ラウンド以内に勝てるでしょう。
リトルマック圧勝
このスペイン野郎弱すぎです。というより──
こんなのに負ける気しませんもの
試合前にバラをくわえて踊っていた男が、リング上でも踊り続けた結果がこれである。フラメンコの情熱は、最後まで誰の顔面にも届かなかった。
ROUND 05
5戦目は自称南太平洋諸島の酋長と名乗る男、キングヒッポーとの戦いです。
キングヒッポー氏
ハクション大魔王?
しかしこのヒッポーという男、見た目は床屋で失敗したハクション大魔王だが、実際戦ってみるとその容姿からは想像できない位に強敵です。その強さの理由とは──
鉄壁の防御
一発もこちらの攻撃があたりません。
リトルマック、成す術無しです。
このまま負けてしまうのかマック?
しかしその時、マックはふとコーナーでトレーナーのドックが何かを叫んでるのに気が付きました。しかしヒッポー의 猛攻と周囲の歓声に掻き消されてドックの声はうまく聞こえない!
「ドックだったらもしかするとヒッポーの弱点を知っているのかもしれない」
そう確信したリトルマックはヒッポーの弱点を聞くために何とか1ラウンドを凌ぎます。
しかし、疲れて帰ってきたマックに対してトレーナーのドックは一言こう呟きました・・・
「任天堂ファンクラブにでも入るか」
・・・
「帰れ・・・」
58歳の酔いどれに命を預けた男は、この瞬間悟った。必要だったのは作戦ではない――自分の判断力を補佐するセコンドだったのだ。
2ラウンド目もヒッポーの防御には隙が見当たりません。そして2ラウンド目も何とか凌ぎ、ボコボコになりながら自分のコーナーに戻ってきたマックでしたが──あのドックがまた何か言ってきました。
「諦めるなマック、奴の大きな口に蓋をするんだ!」
・・・
「先にそれを言ってね」
その瞬間、日本中のファミコン少年が同時にツッコんだ。「先に言え」と。テレビゲームがもたらした、類まれなる国民的シンクロニシティである。
バカトレーナードックの言うとおり、ヒッポーはパンチを打つ時に口を開く癖があるので、開いた瞬間にそのビッグマウスにパンチをぶち込んでやりましょう。そうすると弱点のボディのガードが空くのでそこに集中砲火するべし。
ちなみにこの酋長、一度でもダウンさせるとカウントを聞くまでも無くリトルマックの勝利です。なぜならこの酋長──
自分の体重が重すぎて起き上がって来れません。
まずは痩せろ…話はそれからだ。
敵はリングの向こうではなく、腹回りにいた。
ROUND 06
6戦目の相手はセコンドにトラの毛皮という悪趣味さ、インド出身の怪しさ100%オーバーのターバン野郎グレートタイガーとの戦いです。
こいつはそれほど強くは有りませんが、時々放ってくるこの分身の術には注意しましょう。
ボクシングのルール『分身の術を禁止する』という条文はない。想像してみてほしい。委員会の重鎮たちが真顔で「選手は一人までとする」と議論している会議風景を。誰もそんな事想定などしていなかったのだ。
インド人、自分の技に溺れ自滅
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インド人を右に!
…ごめんなさい
もはや『ボクシング』という競技の定義が崩壊している。この無法地帯を放置しているW.V.B.Aは、直ちに業務改善命令を受けるべきである。
ROUND 07
W.V.B.A MAJOR LEAGUE TITLE
7戦目はトルコのオヤジボクサー・ボールドブルとの対戦ですが──
きみデカすぎ・・・
まるで北斗の世界で生まれ育ったかの様な風貌ですね。あながち本当かもしれません。
拳がラオウ並です
風のヒューイ状態
この巨大なオヤジは普通に戦ってももちろん勝つことは出来ますが、突進してくる時にタイミング良くボディにパンチを叩き込むと一発でダウンを狙えます。
圧倒的体格差をものともせず、リトルマック勝利
推定体重差はおよそ3倍。常識で考えればそもそも対戦が組まれない。だがリトルマックは、ボクシングの常識はおろか重力すらも殴って黙らせる男であった。
ROUND 08
W.V.B.A WORLD CIRCUIT
8戦目の相手は性懲りも無くまた本田です。
再登場。喜んでいるのは、おそらく本人だけである。
マイナーサーキットの時より多少は練習して強くなってきいたようですが、まだまだ初見でも対応できるレベルなので落ち着いて対処しましょう。
本田2度目の敗北
同じ男に二度敗れる。もはやボクサーたる前に人としての学習能力が足りていない。問題はパンチ力ではなく、記憶力であった。
ROUND 09
9戦目の相手は大酒飲みのアル中ボクサーソーダ・ポピンスキーとの対戦・・・の予定でしたが──
飲みすぎで全身がピンク色に変色してますこの男。
「そんなコンディションでホントに試合出来るのかお前?正気を保ってるうちによく考え直した方がいいぞ・・・」と親切に忠告しようとしたマック君でしたが──
このオヤジ
既に出来上がってました。
そのバカにした様な高笑いは何さ?こいつの脳内にはもはや、アルコール以外の水分は一滴も残ってはいまい。
「兄ちゃん・・・自衛隊入らへんか?」
終いにはマック君絡まれました
完全なる酩酊状態。もはやボクシングの試合ではなく、新橋の高架下での悪絡みである。
ポピンスキー飲み過ぎの為ダウン
勝手にぶっ倒れてくれたのでリトルマック君の勝利!
ポピンスキーも気持ちよくあっちの世界に逝けた様です。
しかしこの試合の翌朝、ポピンスキーは更なる相手と戦う事となる。その相手とは・・・
二日酔い
人生最大の敵は、往々にして己の肝臓の中にある。
ROUND 10
・・・またこいつです。
どうやら運営側も対戦相手のストックが尽きたらしい。同じ顔が再びリングに上がってくるという事実からは、もはやマッチメイクではなく環境リサイクルへの強い意志すら感じられる。まともに相手をするのも面倒なので、最も合理的かつ無慈悲な戦法でお帰りいただきましょう。
殴る価値すらないと言わんばかりの、完全なる放置プレイ。
勢い余って突進を止められない己の慣性の法則に敗れ、そのままリング下へと消えていく男。自意識だけでなく、重力との戦いにも敗北した瞬間である。そして──
対戦相手自滅の為、マック勝利!
イノブタかお前は・・・
満を持した登場。そして順調に敗北。彼はもはや対戦相手ではなく、四角いジャングルにおけるイリュージョニストへと転生を遂げたようだ。
ROUND 11
またしてもお前か・・・もう勘弁してくれ。というより──
お前も一緒に踊るなよ。
ちゃんとレフリーしときなさい。
裁く者と裁かれる者が、突如として阿吽の呼吸でステップを踏み始める。例えれば、裁判長が法廷で被告人とルンバを踊り出せばそこに「司法」が存在しなくなるように、この四角いリングからは今、明確に「格闘技」という概念が消え失せた。
こいつももう復活して来ない様に出来るだけボコッておきましょう。
リトルマック余裕勝ち
所詮ザコはザコであった。枯れたバラに二度目の春は来ないということだ。ROUND 12
12戦目の相手はワールドサーキット1位の強豪。褐色のボクサー・ミスターサンドマンが相手ですが・・・
コイツははっきり言って恐ろしく強いです。
先ほどのフラメンコ野郎とは桁が違ってます。
こちらの攻撃に対してスウェーバックやガードを多用してくる為、非常にタイミングが取り辛く、尚且つ動きも速いのでかなりの苦戦が予想されます。
ここに来てようやく、敵が『ボクシング』という競技の"基本ルール"を思い出した。12戦目にして初めてである。危うくこのゲームが『変人品評会』であることを疑わなくなるところであった。
必殺技カミソリアッパーは確実に避けましょう ─ サンドマンの体が光るのを合図に連続でスウェー
サンドマンを倒すには、基本的にアッパーをかわして顔面にパンチ、その後ボディにストレート連打という戦法で勝てると思います。とにかく諦めずにパターンを掴み何度も挑戦してみましょう。
しかし何度もやってたら最終的にキャラがバグってしまいました
極度の緊張と反復練習の末、ついにプレイヤー側の精神ではなく、ゲームのカセット側が精神崩壊(バグ)を起こしてしまった。
冠二郎?
ROUND 13
W.V.B.A WORLD CIRCUIT TITLE
気が付けばW.V.B.Aワールドサーキットタイトル戦まで来ました。念願のチャンピオンまでもう一息です。
そしてワールドサーキット最後の相手は──
突然某メーカーから迷い込んだ伝説の男!
全身ムキムキ野郎・スーパーマッチョマンです!!!
突然マッチョマン
おおっと!いきなりマッチョマンがレフリーを殴り倒したぞ!
・・・いや違う
ワキガだ!強烈なワキガだ!!
マッチョマンの脇の臭いでレフリー失神だ~!!!
今度はレフリーが失神しているのをいい事にマッチョマンがマックをボコり始めた~!!!
ここでレフリーがようやく目を覚ましたぞ!
でも何が起こったのかまだ良く判ってないみたいだぞレフリー!
最後は突然貧弱な科学者が現れてレフリーをタコ殴りに・・・
これはもうなんでも有りのバーリトゥード状態だ!
・・・ってそろそろ誰か止めてください
彼が本物のスーパーマッチョマン
大胸筋がまるで生命体の様に波打ってますね。
さて、試合開始早々、幸運な事にマッチョマンのウイークポイントを発見しました。その弱点とは──
殴られると志村
明日の為によく覚えておきましょう。
腹への一撃が、強制的に「昭和の喜劇王」の顔面を出力する。人体構造の致命的なバグである。
さあこのマッチョな志村戦では特に注意しなければならない技が有ります。
全体重をかけたぶん殴り
これ食らうと一撃でダウンです。
そういえばこんな技を使う人が、ある最強の父親を持つ少年が主人公の漫画でいましたね──
そんなある漫画
マック!?
…冗談はさておき
マッチョマンは必殺パンチのタイミングさえ掴んでしまえば、あとは大振りパンチをスウェーで避けからの顔面連打で案外簡単に勝てると思います。
リトルマック完全勝利
とうとうワールドサーキットまで制覇してしまいましたこの男。
17歳の小兵が、屈強な大人の群れを物理的に粉砕していく異常事態。チャンピオンベルトより先に、児童相談所が介入すべき事案だ。
THE DREAM FIGHT // 伝説との対峙
さあ、ついにあの男の場所まで勝ち上がって来てしまいました。
このゲームのラスボスにして最強の漢──
マイク・タイソンの登場です。
恐っ!
あんただけリアル過ぎ・・・
さっきまでのギャグ路線のキャラからは想像出来ない位に厳つい顔ですね。
この男だけが『等身大の恐怖』という名の別ゲームから特別出演している。もし私が夜道でこんな輩と鉢合わせたら、間違いなく財布と戸籍と自尊心を置いて逃げ出すだろう。
ですからリング上でタイソンと対面した時のマック君の心情は、おそらくこんな感じだったのでしょう…
逃げたい。今すぐにでも。
しかし、ここまで来たからにはもう後には退けません。タイソンの厳つ過ぎる顔に怯えながらも、運命のゴングが鳴り響きます。
いよいよラストバトル
試合が開始するとタイソンは初っ端から、食らえば即ダウンという超強烈なアッパーでお出迎えしてくれます。
このアッパーはタイソンが疲れる1分30秒まで休まずぶっ放してくるので、コンマ1秒の猶予もありません。絶対に食らわないようにしましょう。一撃。それはすなわち死を意味する。
1分30秒の間、触れれば即死のミサイルを避け続ける理不尽な耐久テスト。プレイヤーの心臓の方が先にパンチアウトしそうである。
そして1分30秒からの主力攻撃は、左右のフックの連打です。この攻撃を放つ際、タイソンはウインクをするという奇妙な癖があるため、その瞬間を見逃さず、反撃の狼煙をあげましょう。
ウインクが目印
第2ラウンド冒頭で最も警戒すべきは、前触れなく放たれるノーモーションのストレートです。これは全キャラ中最速の初速を誇るため、ラウンド開始とともに全神経を指先に集中させる必要があります。
持てる技術のすべてを駆使し、世界の頂を見据えて戦い抜きましょう。
・・・そして激闘の末──
リトルマック、世界の頂点へ
アメリカンドリーム、完遂。
タイソン敗れる
タイソンが敗れたというニュースは、瞬く間に全世界のブラウン管を駆け巡り、歴史の1ページとして刻まれました。
EPILOGUE
・・・そして
奇しくもこのソフトが発売されたちょうど3年後、タイソンはここ日本・東京ドームにて現実のKO負けを喫し、絶対王者の座を失うことになります。
「マイクタイソン・パンチアウト」──
このソフトは、その後の帝王の運命を予言した黙示録だったのかもしれない。
「・・・な訳ねーだろ」
筆者が真っ白に燃え尽きたので終了